「炎症」と聞くと、ケガをした時の赤みや腫れを思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、妊活で重要なのは、
痛みや熱などの症状がほとんどない
**慢性炎症(サイレント炎症)**です。
慢性炎症とは、体の中で弱い炎症が長期間続いている状態を指します。一見健康そうに見えても、体内では炎症性サイトカインなどが増え、酸化ストレスが高まっていることがあります。
近年では、このような慢性炎症が卵巣や子宮の環境に影響し、妊娠しやすさとの関係が注目されています。
慢性炎症が妊活へ与える可能性のある影響
① 卵子が育つ環境に影響する
卵子は約3~4か月かけて成熟すると考えられています。
その間、卵胞内では多くのエネルギーが必要になりますが、慢性炎症が続くと酸化ストレスが増え、卵胞環境が悪化する可能性があります。
特に子宮内膜症やPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)、加齢では、卵胞液中の炎症性物質が増加し、卵子の質へ影響する可能性が報告されています。
② 子宮内膜の環境に影響する
受精卵が着床するためには、子宮内膜が適切な状態であることが重要です。
慢性子宮内膜炎などの炎症が存在すると、着床環境へ影響することがあり、反復着床不全や不育症との関連も研究されています。
③ インスリン抵抗性やホルモンバランスにも関係する
肥満や血糖値の乱高下、睡眠不足、慢性的なストレスは、炎症を引き起こしやすい要因です。
慢性炎症はインスリン抵抗性とも深く関係しており、結果として排卵やホルモンバランスにも影響を及ぼす可能性があります。
意外なところにも炎症は潜んでいます
炎症は子宮や卵巣だけに起こるものではありません。
例えば、
- 歯周病
- 慢性副鼻腔炎や上咽頭炎
- 腸内環境の乱れ
- 肥満
- 子宮内膜症
- 慢性子宮内膜炎
なども、全身の慢性炎症につながる可能性があります。
妊活では「炎症を抑える身体づくり」が大切
妊娠しやすい身体づくりは、「何かを足すこと」だけではありません。
まずは炎症を起こしにくい身体の土台を整えることも重要です。
当院では、
- 血糖値を安定させる食事
- 必要な栄養素の見直し
- 睡眠やストレスへのアプローチ
- 鍼灸による血流・自律神経の調整
などを組み合わせ、一人ひとりの状態に合わせたサポートを行っています。
妊活は「卵子」だけを見るのではなく、「卵子が育つ環境」と「赤ちゃんを迎える身体全体」を整えることが大切です。
原因が分からない不妊で悩まれている方ほど、体の中で静かに続いている慢性炎症という視点から身体を見直してみる価値があるかもしれません。